妙廣寺を読む
Column
開山日祥上人ご染筆の掛軸
624年の時を越え、届く想い
妙廣寺の始まりは應永2年(1395)、元真言の僧といわれる日祥上人が法華に改宗し、⻄⻑鳥山本の地に一宇を構えて「妙廣精舎」と名乗り布教を始められたと伝えられています。
室町時代まで遡る当山は、開創以来624年、その間寺の移転や幾多の災害があり、200年ほど前には本堂等の建物が倒壊埋没して、当初からの資料はほとんど残っていません。
そんな中、開山日祥上人ご染筆の「一遍首題の御本尊」(お題目の掛軸)が、歴代の住職、代々の檀徒の力添えによって今日まで護持されて参りました。某も33代目を受け継いだ後、平成14年宗祖立教開宗750年の折り、現状補修をさせていただきました。
そこにはお題目と共に、「應永第二 乙亥 年三月日 法布山妙廣精舎 日祥」と記載されています。これが唯一の開創の証として伝えられてきました。
掛軸は大きいものではなく、文字も細めながら素直な筆の運びでお書きになられているお題目は、人々の心を優しくお包みくださっているように感じます。恐らく、その始まりは決して派手なものではなく、しかし妙法公布の深く大きな決意を持たれて静かに始まっ たのではないでしょうか。