法布山 妙廣寺

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一塔両尊の三宝尊像

お題目の光明に照らされて

本堂にお座りになると、正面中央の最上段にお題目の宝塔と左右に二人の仏様のお姿を拝することができます。これを一塔両尊いっとうりょうそんといい、お題目の宝塔の向かって左側が釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ、右側が多宝如来たほうにょらいです。これらを三宝尊像さんぼうそんぞうと呼びます。

お釈迦様は、晩年の8年間インドの霊鷲山りょうじゅせんで法華経を説かれました。全28章で構成される妙法蓮華経(鳩摩羅什くまらじゅう訳)は、第11章(見宝塔品けんほうとうほん)にいたると、それまで霊鷲山の山頂で繰り広げられていた説法の舞台が、突然空中へと浮かび上がっていくのです。そして大地より大きな宝塔が出現し、中におられた多宝如来が、上座である右側(向かって左側)をお釈迦様に譲られ並んで座られます。さらに大地より地涌じゆの菩薩が出現され、はかりしれない昔に既に悟りを開かれたお釈迦様、即ち久遠実成の本師釈迦牟尼仏としての説法が始まります。これを虚空会の説法と言います。

このお姿が、文字で現した掛け軸等の大曼荼羅だいまんだら御本尊であり、これを仏像にしたのが本堂に安置されている仏・菩薩の諸尊です。皆さんが本堂や仏壇にお参りされる時、そこはまさに虚空会上であり、末座に座して久遠実成のお釈迦様からお説法を聴くこととなるのです。

当山は238年前の天明元年5月20日、大雨による裏山崩壊によって本堂等の建物すべてが埋没倒壊しています。仏像はそれ以降のものと思われますが、この三宝尊像は最も中心となるご尊像ですので、どうぞお参りの際は、正面中央の最上段に安置されている三宝尊像のご尊顔を拝していただきたいと思います。